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36 豪華な食事

last update Date de publication: 2025-11-26 21:03:30

「な、何……今、お前何と言った……? ま、まさか……っ!!」

「フィ……フィーネなのか……?」

ジークハルトが声を震わせながら問いかける。

「あら? やっと名前を呼んでくれたのですね? 私の事を魔女と呼んでいたので、もう名前を忘れてしまったのかと思っておりましたわ」

「な、何ですって!?」

ガチャーンッ!

叔母が床に皿を落として割ってしまった。

「キャアアアッ!!」

怯えたヘルマが悲鳴を上げ、ますますジークハルトにしがみつく。

「大丈夫だ……ヘルマには指1本触れさせないよ」

優しい声でヘルマの髪を撫でるジークハルト。以前の私ならそんな姿を見せつけられようものなら心がかき乱されていたかもしれないが……今は何も感じない。

何故なら彼はもう私の愛する人では無くなったのだから。

「フィーネ……お前、その姿は一体どうしたのだ……?」

ジークハルトが私を睨みつける。

「見ての通りです。貴方のお望み通り、魔女になっただけですが?」

「何だと!?」

「フィ、フィーネ。お前……一体どういうつもりでここへやって来たのだ?」

叔父は私を指差しながら尋ねる。

「随分野暮なことを尋ねるのですね。食事を頂きに来
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  • 黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます   <魔女の弾く鎮魂歌> 悲劇の魔女、フィーネ 28 <完>

     若い夫婦が新婚旅行先で車に乗り、道に迷っていた。「おかしいな~ナビ通りに来たはずなのに……」「ナビが壊れたんじゃないかしら? それでここはどこなの?」「う~ん……それが住所もないんだよ。ただ、ナビには『アドラー城跡地』と表してある」夫はナビを見ながら妻に答えた。「アドラー城……? ここにお城があったの? ロマンチックね……。ちょっと降りてみましょう?」「え? お、おい……」妻は夫が止めるのも聞かず、車を降りてしまった。「う~ん……湖もきれいだし、青空に良く映えるわね~」その時――「……あら? 何かしら……」そこへ夫が駆けつけてきた。「駄目じゃないか。勝手に降りたりしたら」すると妻が言う。「ねぇ、何か聞こえない?」「え? ……そう言えば何か聞こえる……」「あっちだわ! 行ってみましょう!」「そうだな!」駆け出す妻の後を夫も追い……そして2人は目にした。黒い布に包まれた生後間もない赤子が弱々しく泣いていたのだ。「まぁ……なんて可愛い赤ちゃんなのかしら。女の子みたいね。艶やかな黒髪ね。青い瞳が宝石のように奇麗だわ」妻は赤子を抱き上げると、途端に赤子は腕の中でにっこりとほほ笑んだ。「捨て子かな……? しかし、それにしても可愛らしいなぁ……きっと将来は美人になるぞ」すると妻が言う。「ねぇあなた。赤ちゃんがこんなところに1人で来れるはずないわ。きっと捨てられてしまったのよ可哀そうに……。いっそ、私たちで引き取って育ててあげない? どうせ……私は子供を産むことが出来ない身体だから」「……そうだな。俺もそれがいいと思う。こんなに可愛い子を放っておけないさ」夫は赤子を覗き込む。「本当? 実はね、私……もう名前も考えちゃった。何だか今、頭にふっと浮かんだのよ」「へ~どんな名前なんだい?」「フィーネって名前にしたいの。どう?」「すごい偶然だな。俺もその名前がたった今、思い浮かんだんだよ」夫は驚いて目を丸くする。「あ、見て見て。フィーネって呼んだら笑ったわ」「本当だ……賢い子だな」「あなた…この子、私たちで可愛がって育てましょうね?」「ああ、勿論さ。愛情をたっぷり注いで育てよう。よし、それじゃ……行こう。まずは可愛い娘の為に、洋服を買ってあげるんだ」夫は赤子を抱いた妻に声をかけ、妻は頷くと赤子を見つめた。「フィー

  • 黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます   <魔女の弾く鎮魂歌> 悲劇の魔女、フィーネ 27(残虐シーン有)

    「フィ……フィーネ……」フィーネは悲しげな顔で俺を見つめているように見えた。そしてその口がゆっくり動く。『さ よ な ら』そう……はっきりと語っていた。「さよなら……? さよならだって!?」そしてそこで3枚目のSDカードの再生は終わってしまった。残る最後の1枚……。一体このカードには何の映像が残されているんだ……?全身から冷や汗が流れ落ちる。今の俺はフィーネと過ごした記憶を取り戻していた。彼女との会話に笑顔、そして柔らかな唇。抱いた時の彼女の肌の温もりに快感で震える甘い声……その全てを鮮明に思い出すことができる。2人でアドラー城跡地へ行き、目にした禍々しい城。彼女の発言にカッとなり、再度車の中で抱こうとした時に激しい眠気に襲われたこと……。そして目覚めれば城は跡形もなく消え去り、あの場所は禍々しい気配がすべて消え失せいていた。至で頭を働かせた。「あの場所から不気味な気配が消えたということは……恐らく怨霊が消え去ったのだろう。では何故、怨霊は消えた? それは……自分たちの恨みを晴らすことができたから……?」さよならと告げて消えてしまったフィーネ。だとしたら……。駄目だ……この……最後のSDカードは絶対に見てはいけない……。俺の中で激しく警鐘が鳴っている。だが……。ここにはフィーネに関する重大な記録が残されているはず。そして、恐らく彼女は俺に見てもらいたい……そう、判断した。震える手でSDカードを挿入し……動画を再生させた――**** 動画の中のフィーネは1人、闇に覆われたアドラー城へと入っていく。そして彼女が足を踏み入れた途端……ゾンビのような姿をした怨霊たちがフィーネの前に現れた。そのゾンビの中心には変わり果てた姿のジークハルトとフィーネの叔父、そして叔母にヘルマの姿があった。彼らは驚くべき速さでフィーネに駆け寄ってくると、いきなりジークハルトがフィーネの右腕に嚙みつき、喰いちぎったのだ。音声は記録されていないが、痛みで彼女が悲鳴を上げている。「フィーネッ!!」叫ばずにはいられなかった。血しぶきをあげて倒れこむ彼女をさらに叔父が襲ってきた。彼はフィーネの左腕を食いちぎる。フィーネは痛みで悲鳴を上げ続けているのが映像に映し出されている。「や……やめろぉーっ!!」無駄とは知りつつ、心の中から叫んだ。しか

  • 黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます   <魔女の弾く鎮魂歌> ※悲劇の魔女、フィーネ 26(残虐シーン有)

    「う……うぅ……」とてもではないが、まともに見られる映像では無かった。それなのに俺の目はPCに映し出される映像から目を離すことが出来なかった。首だけになった彼等は激しく泣き叫んでいるが、さらにそこを容赦なく狼は襲う。彼等は顔を食いちぎられ、頭を割られ……頭蓋骨だけになっても口をカタカタ開けている。「そ、そんな……嘘だ……まだ……まだ動いているなんて……」その時、ある言葉が俺の耳に蘇ってきた。『どんなに痛くても、出血しても……心臓が無事である限りは決して死ぬことが出来ない魔法です。彼等は骨になるまで食べつくされましたが、心臓は無傷だったので……それでも死ぬことが出来ませんでした。フィーネの炎の魔法で心臓を焼かれるまで』そうか……だから彼等は骨だけになってもまだ死ねないのか……?その時、ふと思った。「え? そう言えば……俺は何故知っているんだ? 誰がこの話を教えてくれた……?」映像はまだ続いている。画面が切り替わり、血溜まりの中に2つの心臓がビクビクと脈打っている。そこに近づく黒いドレスの魔女。彼女は指先から炎を生み出すと、迷うことなく蠢く2つの心臓に向けて炎を落とす。するとあっという間に心臓は炎に包まれて燃え上がり、そこからどんどん炎が広がっていく。すると魔女はふらりと部屋を出ると血しぶきの飛び交う城の中をフラフラと歩いていく。「何処へ行くんだ……? フィーネ……」そこで2枚めのSDカードの映像が終わった。「……」正直迷った。今まで見てきた映像はあまりにも凄惨な映像ばかりだった。職業柄、普通の人達に比べれば、ある程度の衝撃映像は耐性が出来ているつもりだったが、今回だけはそうはいかなかった。あの恐ろしい……吐き気がこみ上げてくるような映像はトラウマレベルだ。けれど……。残りのSDカードは後2枚。恐らくこの映像にも大事な記録が残されているに違いない。震える手で3枚目のSDカードを挿入し、再生を開始した。 映像はやはり先程の続きだった。魔女フィーネがフラフラと暗闇の中を歩き……一つの部屋の前で足を止めた。魔女は扉を開くと、そこは音楽ホールのような場所なのだろうか?大きなグランドピノが置かれている。「え……? ピアノ……。まさか……弾くつもりなのか?」すると魔女はピアノの前に座り、演奏を始めた。しかし、この映像には音が記録

  • 黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます   <魔女の弾く鎮魂歌> ※悲劇の魔女、フィーネ 25 ※(残虐シーン有)

    「ふ~ん……今度は西の国か……」電話を切った後、PCで次に訪れる予定の国の情報を検索した。「今度は動き回るミイラの話か? 何だかこれも怪しい話だな。まぁいい、今夜はこのホテルに宿泊して明日には出発するか」そして伸びをした時に、ふと目の前に観測用カメラから引き抜いた4枚のSDカードが目に留まった。「そう言えば…ふ~ん……今度は西の国か……」電話を切った後、PCで次に訪れる予定の国の情報を検索した。「今度は動き回るミイラの話か? 何だかこれも怪しい話だな。まぁいい、今夜はこのホテルに宿泊して明日には出発するか」そして伸びをした時に、ふと目の前に観測用カメラから引き抜いた4枚のSDカードが目に留まった。「そう言えば……なにか録画されているのか…?」首を捻りながら、1枚のSDカードをPCに挿入して再生させた。「え……?」突然映像が流れ始めた。それは闇の中に不気味な城が月明りを背に映し出されている映像だった。そして、その城の中に入って行く長い黒髪の女性の後姿が映りこんでいた。「だ、誰だ……? この女は…。それに……この城は……一体何だ……?」気付けば冷や汗が流れ出していた。女性はゆっくりと城の中へと入って行き、いきなり映像が切り替わった。 次の映像は思わず目をそむけたくなるかのような映像だった。無数の狼たちが人々を襲っているのである。狼たちは逃げ惑う人々を追いかけ、喉元を食い破る。途端にほとばしる血しぶき。そして人々を無残にもその鋭い牙を身体に突き刺し、ガツガツと喰らっているのだ。「う……」思わず吐き気が喉元から込み上げてきそうになる。「な、何だ……こ、れは……映画……なのか……?」あまりにも残虐なシーン。そうだ、こんな……人間が生きたまま狼に喰われるなんてありえない。映画に決まっている。その時……。「え?」狼達を引き連れて歩いている黒髪の後姿の女性が映像に映り込んだ。彼女は真っ黒なドレスを身にまとい、血が飛び交う城の中を平然と歩いて行く。その姿は……まさに……。「ま、まさか……魔女……フィーネ……?」そこで突然SDカードの映像は終わった。「……な、何だ……? い、今の映像は……?」震えながらカードを抜き取った。心臓は今にも飛び出るのではないかと思う位に早鐘を打っている。ま、まさか……この残りのSDカードにも……映像

  • 黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます   <魔女の弾く鎮魂歌> 悲劇の魔女、フィーネ 24

    「う……」 眩しい朝日が顔に当たり、目が覚めた。気付けばいつの間にか朝になり、太陽の光が辺りを明るく照らしている。「そ、そんな……いつの間にか朝になっている」まさか……朝まで目が覚めなかったのだろうか? いや、それ以上にもっと衝撃的な事実がある。「う、嘘だろう……? 城が消えている……」そんな馬鹿な。確かに昨夜、ここで300年前に炎で焼け落ちたはずのアドラー城をこの目で見たはずだ。「え?」そこで重要なことに気付いた。「俺は……何で夜にここへ来たんだっけ……?」色々な人物から夜は危険なので絶対にアドラー城跡地に近付いてはならないと言われていたのに、何故俺は危険を冒してまた1人でここへ来たんだ?「1人……?」いや、本当に1人だったのだろうか? 誰かが俺の傍にいたような気がする。それが誰だったのか、少しも思い出せないのがもどかしくてたまらない。その時、定点観測用カメラを仕掛けておいたことを思い出した。「そうだな……折角ここまで来たんだ。持って帰ることにするか」車から降りた時にふと気づいた。「そう言えば、初めてこの場所を訪れた時は不気味な雰囲気が漂っていたのに……」何故だろう? 今は清々しい風が吹き、眼前に広がる巨大な湖は太陽の光を反射して、キラキラと輝いている。ここは、とても美しい場所だと思った。「きっと、湖面を背景にそびえ立つアドラー城は……さぞかし美しかっただろうな」俺は4台の定点観測用カメラを回収する為に向かった。****「おかしいな……」定点観測用カメラをおいた場所が自分が最初に置いた場所とかなりずれていた。お陰で全てのカメラを回収するのに時間がかかってしまった。「何でこんな場所に移動しているんだ……?」幾ら首を捻っても分るはずは無い。「まぁ、いいか。カメラは無事回収したし……。それにしても今回も収穫はゼロだったか。仕方ない、また別のミステリースポットを探しに旅に出よう」そして、最後にもう一度アドラー城跡地を振り返った。「ん?」俺は一瞬目を凝らした。そこに長い黒髪の女性が1人、立っている姿が一瞬見えたからだ。彼女はこちらをじっと見つめている……様に見えた。慌てて目をゴシゴシ擦り、もう一度その場所を見てみる。するとそこには1本の細い枯れ木が立っていた。「何だ……見間違いか……」そうだよな……この辺り一

  • 黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます   <魔女の弾く鎮魂歌> 悲劇の魔女、フィーネ 23

    「そんな……ここは何も無い荒地だったはずなのに……」アドラー城は大きな満月を背に不気味なシルエットとして背景に溶け込んでいるように見えた。「……」フィオーネは無言でシートベルトを外すと、車の扉を開けて外に出ようとした。「待て! 何所へ行くつもりなんだ!?」慌てて彼女の細い肩を掴んで引き留めた。「何所へ……? そんなことは決まっています。あの城へ向かうのです」「駄目だ! あの城へ行くなんて! 行ったらただでは済まないぞ!?」そうだ、俺のような平凡な人間だって分る。あの城に行ったらとんでもないことになると。「駄目です。今夜絶対に私はあの城へ行かなくてはならないのです。彼等が……私を呼んでいるから」「彼等? 彼等って一体誰なんだ……?」フィオーネが何を言っているのか……半分は分ってはいたが、聞かずにはいられなかった。自分の考えとは違う答えを望んでいたからだ。だが……。「彼等とは300年前にこの城でフィーネによって殺害された者達のことです。300年前の悲劇があの城でこれから再現されるのです。私は行かなければなりません」フィオーネは淡々と語る。「何だって……? 300年前の悲劇の再現……だって? ま、まさか……」「……」フィオーネは顔を伏せて視線を合わせようとしない。「答えてくれ! フィオーネ!」フィオーネの両肩を掴んだ。すると悲しげな顔でフィオーネは見上げてきた。「ユリウスさん……。本当はもう気付いているのですよね? 私が……魔女フィーネだということに……」「! そ、それは……だ、だが……あの話は300年も前の話だ。普通の人間が300年も生きられるはずがないだろう?」冷静を装って話しているつもりだったが……声が震えてしまう。「私は、残虐な魔女となり……最期は神聖魔法によって塵となって消えました。本当の私は300年前に死んでいるのです。けれども私はユリアンの生気を吸い取り、再び肉体を取り戻したのです。この身体は既に一度滅んだ身体なので私にとってはただの魂の入れ物でしかありません。その為決して老いることも死ぬこともないのです。……痛みも」魂の入れ物……その言葉に何故か俺はカッとなった。「ただの魂の入れ物だって……? 嘘だ! そんなはずない! だったら俺が君を抱いた時……あんな反応をするはずはないだろう!? 俺に感じて……腕の中

  • 黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます   16 叔父の言い分

    「え? 帰った!?」「ああ、そうだ。この執務室についてすぐのことだった」「そ、そんな…」いくら急ぎの用事だからと言って、半月ぶりに婚約者に会えたのに? 私に何一つ声をかけずに……帰った……?すると、叔父がニヤリと笑みを浮かべた。「まぁ、彼も18歳になって、自覚が湧いたのではないか? 良いではないか。どうせ今年中に2人は結婚するのだろう? そうなれば嫌でもずっと一緒に暮らしていけるのだから」「私がジークハルト様をイヤになることなど決してありません」叔父の言い方が気に入らず、強い口調で言い返す。「それよりも、何故使用人たちに大掃除をさせているのですか? 私がここへ戻る為の手伝いを

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-18
  • 黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます   14 見下される私

     離れから本館の城まで私は急ぎ足で向かった。「お待ち下さい! フィーネ様!」長い渡り廊下を歩いていると、背後からユリアンの声が迫ってきた。振り返ると大きな荷車を引いた彼がこちらに向かってやってきた。「ユリアン……」「フィーネ様。私も一緒に参ります」「ええ、それは構わないけれど貴方は持ち場へ戻ってちょうだい。私は叔父様の元へ行くから。恐らくジークハルト様も一緒だと思うし」「え……? ジークハルト様ですか? あの方は……」並んで隣を歩くユリアンの顔が曇る。「何? そんな顔をして……どうかしたの? 今、何を言いかけたの?」「い、いえ。私はまだこの城にフットマンとして雇われて日が浅

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-18
  • 黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます   17 衝撃の夜

     真夜中――ふと何故か突然私は目が覚めた。何処からか風が吹いている気配を感じたからだ。ゆっくり起き上がると、バルコニーへ続く窓が大きく開け放たれ、レースのカーテンが風で揺れている。空には大きな満月が浮かび、部屋の中が青白く照らし出されていた。「え……? 何故窓が開いてるの……?」するとすぐ近くで男の声が聞こえた。「何だ、起きたのか? そのまま大人しく寝ていれば良かったものを」「え!?」驚きで振り返ると、そこにはマント姿に口元をスカーフで隠した黒ずくめの人物が立っていた。そして手には短刀が握られている、「だ、だ、誰!?」「俺か? 俺はある人物からあんたを殺すように言われて

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-18
  • 黒薔薇の魔女~さよなら皆さん。今宵、私はここを出て行きます   11 見捨てられた3人のメイド

     3人のメイド達は私を見ると青ざめた。「あなた達! 一体これはどういうことなの!?」ヘルマはメイド達を叱責した。「そ、そんな馬鹿な……」「確かにあの倉庫に閉じ込めたはずなのに……」「どうしてここにいるの……?」「何だって……?」3人のメイド達の言葉にジークハルトの顔が険しくなる。「ヘルマお嬢様! 信じて下さい! 私たちはお嬢様の仰った通り、確かにあの女を北塔の倉庫に閉じ込めたんです!」釣り目の気の強そうなメイドがヘルマに訴える。「こ、この馬鹿! 何てことを言うのよ!」メイドに自分が命じて私を閉じ込めさせたことがバレてヘルマは焦りの声を上げる。「やはり、そなただったのか

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